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新卒採用フローの設計

以前、「採用コストの組みかた」でお伝えしたように、採用活動は必要な人材の分析と、自社分析をもとに設計し、実行することで適切なコスト配分と効果を得られます。
なかでも採用フローは、採用に必要な実施項目とコスト設定で欠かせない設計図です。

新卒採用とキャリア採用では、採用候補者の特徴、募集期間などが異なり、採用フローで気をつけるべきポイントも異なります。
今回は、新卒採用フローの設計工程と、考えるべき視点をお伝えします。

目次

  1. 多様化する採用ステップ
  2. 志望度を高める採用フローの作り方
  3. 採用活動の成功は、継続と改善の先にある
  4. まとめ

多様化する採用ステップ

現在、人材採用関連のツール・サービスが乱立し、採用候補者の志向、スキル、世代によって使うツールが異なります。
デジタルネイティブの彼らにとって、インターネットやマッチングアプリを使った企業選びは身近な存在です。
さらに、新卒採用の場合は、キャリア採用以上にフローを作り込む必要があります。
なぜなら、キャリアが無く実績での見極めができない上、多くの候補者から短期間で選ばなくてはいけません。

大手媒体が描くテンプレートでは、求める人材とのマッチングは難しいでしょう。
自社の求める人材に合わせて、採用フローを設計しましょう。

基本的な採用フロー

採用フローは一般的に、大きく3ステップに分けられます。

①広報活動による母集団形成

各種メディア(自社・他社)、広告媒体などで求める人材に知ってもらうきっかけの場になります。
具体的には求人広告、自社サイトでの求人情報、合同説明会への出展、セミナー開催などが挙げられるでしょう。
仕事のイメージや、働きがい、社員メッセージなどで、入社後のイメージを伝え、応募へのモチベーションを高めます。

デジタルネイティブはSNSに慣れ親しんだ世代のため、広告に対する感度が高い傾向にあります。(例:アットホームな職場、夢、希望、絆といった情緒的表現に対し、同調圧力や非合理的といったネガティブな印象を持つなど)。業種により、社員と直接コミュニケーションできる就活向けのマッチングサイトや、SNSによるリアルな発信への抵抗は低く、自ら求めていく学生も少なくないでしょう。

②選考

必要な人材の採用基準を設定します。SPI、書類選考、面接で見るべきポイントなどをリストアップし、基準が曖昧にならないよう注意が必要です。

また、選考中のコミュニケーションは候補者側からチェックされています。「選考結果の連絡が遅かった」「スケジュール調整をなかなかしてもらえなかった」など、連絡の早さ、適切は対象者の志望度に大きく影響し、場合によってはSNSで悪評としてシェアされてしまう恐れも。

いずれも、採用応募者からどう見えているか、何を感じているのか考慮し、社内共有することで避けられます。

③内定者フォロー

選考後、内定者にはフォローを行います。
新卒の就活は、複数社をまたいで選考に参加する人がほとんどです。
優秀な学生になるほど他社からの引き合いが強くなるため、内定後のフォローにより、内定者の志望度(モチベーション)を高める工夫をします。

例えば、内定者懇親会や内定者同士で、入社前に一緒に取り組めるプロジェクトを取り入れるなど、内定者同士のコミュニティを作り、会社への理解・愛着を深める企画は効果的です。

志望度を高める採用フローの作り方

上記の基本的な採用フローから、さらに踏み込んだオリジナルの採用フローを作ります。
学生が自社を知るきっかけ、応募、内定に到るまでの接点は、各種メディア、OB訪問、採用ページ、応募フォーム、説明会、面接などさまざまです。

それぞれの接点が学生にとってどのような感情を想起するのか考え、求める人材像のモチベーションを上げるには何をすればよいか。
こういった視点で採用フローを設計します。

1.求める人材を調べ、ペルソナを作成する

採用フローを描く前に、対象者を知ることから始めます

まず、自社に入社して欲しい人物(ペルソナ)を明確にします。募集要項と、その業種、職種に興味を持つ学生の特徴(学部、専攻、志向、趣味など)を書き出していくと、採用フローに必要なツールが見えてきます。

このとき、社員同士の想像で作るのではなく、学生へのインタビューやアンケートで作成します。
学生との接点がある採用担当者にヒアリングするのも良いでしょう。

2.ペルソナに基づき、採用までの行動と心理変化を俯瞰する(キャンディデートジャーニーマップ:CJMを作る)

キャンディデートジャーニーマップ(CJM)とは、対象者がゴール(この場合は就職)に至るまでの工程に紐づく感情の動きを時系列でまとめたものです。採用候補者が自社に興味を持ち、採用に至るまでの工程を俯瞰し、その工程ごとに、何を考え、どう感じ、どんな行動をするのか予測します。

採用候補者側の環境、心理を理解しておくと、求める人材に寄り添った採用活動ができます。

3.CMJを参照にしながら採用フローのパターンを作る

作成したカスタマージャーニーマップの時系列に沿って、想定されるタッチポイントをリストアップします。
できあがったリストを見ながら、現状の設計に過不足が無いか、ターゲットの立場になって検証します。(面接の回数など検討)
これにより、タッチポイントの大枠が決まります。

4.各フローにコミュニケーションの質が高められる仕組みを検討する

各タッチポイントのコミュニケーション手法を考えます。
説明会で誰がどのような話をすればターゲットの志望度は高まるか。
面接ではどのような設問設計をすれば欲しい人材を見極められるのかなど、仮説に沿ったコミュニケーションデザインを行います。

5.データを元に採用フローを継続的に改善する

成果の出る採用フローは、継続的な改善により完成します。
説明会、面接後のアンケートを活用し、自社選考で何を感じたかタッチポイントごとにアンケート集計し、課題点、修正すべきタッチポイントの優先順位付けをします。

ただし、ただ感想を問うだけのアンケートでは、ターゲットの本音を知ることは難しくなります。ここでの設問設計は、NPS®(推奨度)という尺度を導入することで効果的な設問が作りやすくなります。

NPS®︎とは何か?|関係性の強さを数値化する新たな指標

採用活動の成功は、継続と改善の先にある

(このセクション、実績データはありますか?「採用数0→10名」など、数字により説得力が高まると思います)。

ある企業の採用活動をサポートした際、弊社がとった戦略は「印象戦略」です。
キャンディデートジャーニーマップをお客様(クライアント)とともに作成し、採用候補者の印象に残るWEBサイト、オフィスデザイン、説明会資料、選考方法を検証と改善を繰り返し突き詰めました。

採用フローを作成し、すぐに結果が出たわけではありません。
検証の結果、企業側が提供してきたイメージと、採用候補者が描く将来像のイメージが噛み合っていないと判明し、すぐにすり合わせを行いました。
このような検証、改善を行いながら、理念+ビジョン+印象という現在の採用スタイルに行き着いたのです。

まとめ

採用基準・評価基準・給与制度の明確化は、持続的な事業成長には必要ですが、それだけを見て候補者が集まるわけはありません。
実際に働いてみないとわからない職場よりも、採用過程で印象がズレなく伝わる企業の方が、採用数を高め、離職率を下げうると考えられます。

「理念」「ビジョン」に基づく「印象戦略」が、採用のミスマッチを防ぎ、人的投資の費用対効果を左右するでしょう。