知識

ユーザビリティエンジニアリングは使いやすさを創造するプロセス

ユーザビリティエンジニアリングは、先に記事を書いたUIの原則と密接に関連しています。

 

ユーザビリティエンジニアリングは、製品やサービスの品質を向上させるために、欠かせない技術手法です。ユーザビリティが高い製品やサービスは、ユーザーの満足度が高く、結果的にビジネスの成功につながります。

 

これはWEBサイトの開発においても、極めて重要なプロセスです。にもかかわらず、調査やテストにコストがかかる事から、実際に取り組まれる場面は限られています。

 

まずは、ユーザビリティエンジニアリングの視点や重要性、ワークフローを知るところから、WEBサイト開発におけるユーザビリティエンジニアリングの取り組みを促進していきましょう、

ユーザビリティエンジニアリングとは

ユーザビリティエンジニアリングとは、ユーザーの視点に立って、製品やサービスのユーザビリティ(使いやすさ)を向上させるための技術手法のことです。その目的は、ユーザーが製品やサービスを使いやすくすることにより、ユーザーの満足度を高め、製品やサービスの成功につなげることです。そのために、科学的な手法やプロセスを用いてデザインや開発を行います。

ユーザビリティエンジニアリングの利用領域

様々な領域で利用されますが、特に、ユーザーエクスペリエンスを重視する分野やユーザーが製品やサービスを使いやすくする必要がある分野でよく活用されています。以下に、ユーザビリティエンジニアリングが利用されている主な領域をいくつか挙げてみます。

ウェブデザインおよびアプリケーション開発

ウェブサイトやモバイルアプリケーションのデザインと開発において、ユーザビリティエンジニアリングの手法が活用されます。ユーザビリティテストやフィードバックの収集を通じて、ユーザーがサイトやアプリを効率的に使えるようにデザインを最適化します。

ソフトウェア開発

デスクトップアプリケーションやエンタープライズソフトウェアの開発においても、ユーザビリティエンジニアリングが利用されます。ユーザーが使いやすいUIを提供し、学習曲線を低くすることで、効率的なソフトウェア利用を実現します。

ツールやデバイス

家電製品や電子機器をはじめ、様々な道具や器具の開発において、利用者が製品を適切に使用できるようにするために、ユーザビリティエンジニアリングが重要な役割を果たします。

自動車インターフェース

自動車のダッシュボードやインフォテインメントシステムの設計において、運転中に安全かつ使いやすいインターフェースを提供するために、ユーザビリティエンジニアリングが活用されます。

ゲームデザイン

ゲーム開発においても、プレイヤーがストレスなく楽しめるようなインターフェースやゲームデザインを追求するために、ユーザビリティエンジニアリングが考慮されます。

これらは一部の例であり、ユーザビリティエンジニアリングの活用範囲は多岐にわたります。これらの領域では、製品やサービスのユーザビリティとユーザーエクスペリエンスを向上させることが、顧客満足度や競争力の向上につながるとされています。

ユーザビリティエンジニアリングのプロセス

それでは、ユーザビリティエンジニアリングのプロセスを理解しましょう。大きく分けて以下の3つのフェーズに分けられます。

  1. ユーザ理解フェーズ
    このフェーズでは、ユーザーのニーズや課題を理解するために、ユーザ調査やユーザインタビューなどの手法を用います。
  1. 設計フェーズ
    このフェーズでは、ユーザ理解フェーズで得られた知見をもとに、製品やサービスの設計を行います。
  1. 評価フェーズ
    このフェーズでは、設計した製品やサービスを実際にユーザーに使ってもらい、ユーザビリティを評価します。

ユーザビリティエンジニアリングのワークフロー

ワークフローはプロジェクトや組織によって異なる場合がありますが、一般的なユーザビリティエンジニアリングのワークフローには以下のステップが含まれることが多いです。

プロジェクトの目標と要件の定義

ユーザビリティエンジニアリングのプロジェクトを開始する際には、プロジェクトの目標と要件を明確に定義します。これにより、プロジェクトのスコープや目的を把握し、効果的な計画を立てることができます。

ユーザー調査とユーザビリティ分析

ユーザーリサーチを実施し、対象ユーザーのニーズや行動パターンを理解します。ユーザビリティの強化点や問題点を特定するために、既存のシステムや競合他社の製品を分析します。

ゴールの設定

ユーザーリサーチや分析結果を元に、ユーザビリティの改善目標を設定します。どのようなユーザーエクスペリエンスを提供するかを明確にし、評価指標を設定します。

ユーザビリティデザイン

ユーザビリティの向上に向けて、UIデザインやインタラクションデザインを行います。ユーザビリティの原則を考慮して、使いやすいインターフェースを設計します。

プロトタイピングとテスト

ユーザーフローを検証するためにプロトタイプを作成し、ユーザーテストを実施します。ユーザーのフィードバックを収集し、デザインの改善を行います。

評価と改善

ユーザビリティの評価を行い、設定した評価指標と比較します。問題点や改善点を特定し、再度デザインを改善します。

実装とデプロイメント

ユーザビリティエンジニアリングの成果を元に、デザインを実装し、製品やサービスを開発します。デプロイメント前に最終的なテストを実施します。

フィードバックと継続的な改善

利用者からフィードバックを収集し、製品の運用後もユーザビリティの改善を継続的に行います。ユーザビリティエンジニアリングは、プロジェクトの終了後も重要なプロセスとなります

このようなワークフローを通じて、ユーザーフォーカスの強化とユーザビリティの向上を実現し、優れたユーザーエクスペリエンスを提供することが目指されます。ユーザーリサーチとデータに基づいたアプローチが、ユーザビリティエンジニアリングの中核を成す要素です。

WEBサイト開発で取り組みが少ない理由

WEBサイト開発においてもユーザビリティエンジニアリングは重要ですが、取り組まれることは少ないです。その理由としては、以下のようなものが挙げられます。

コストや時間のかかる手法である

ユーザビリティエンジニアリングを実施するには、ユーザ調査やユーザテストなどの手法を用いる必要があり、コストや時間がかかります。そのため、予算やスケジュールに限りがあるWEBサイト開発では、ユーザビリティエンジニアリングが後回しにされることがあります。

専門的な知識やスキルが必要である

ユーザビリティエンジニアリングを効果的に実施するためには、ユーザビリティに関する専門的な知識やスキルが必要です。そのため、ユーザビリティエンジニアリングを実施できる人材が不足しているという問題もあります。

意識や理解が不足している

ユーザビリティエンジニアリングの重要性を理解していないという問題もあります。ユーザビリティエンジニアリングを実施することで、ユーザーの満足度や利用率を向上させることができるにもかかわらず、コストや時間がかかるという理由だけで、ユーザビリティエンジニアリングを実施しないというケースもあります。

アクセス解析やヒートマップなど代替手段を用いている

アクセス解析やヒートマップは、WEBサイトの利用状況を分析するためのツールです。これらのツールを用いることで、ユーザーがどのページを閲覧しているか、どのリンクをクリックしているか、どの箇所で離脱しているかなどのデータを収集することができます。

これらのデータを分析することで、ユーザーの利用傾向や問題点を把握することができます。そのため、これらのデータをユーザビリティエンジニアリングの一部として活用することは有効です。

しかし、これらはユーザビリティエンジニアリングの完全な代替にはなりません。アクセス解析やヒートマップでは、ユーザーの心理や行動を直接観察することはできません。そのため、これらのツールを用いて得られたデータは、あくまでもユーザビリティエンジニアリングの補助的なツールとして活用すべきです。

Summary

ユーザビリティエンジニアリングは、ユーザーにとって使いやすく満足度の高い製品やシステムを提供するために欠かせないプロセスです。ユーザーの視点に立ったデザインと開発を行うことで、より良いユーザーエクスペリエンスを実現することが目指されます。ユーザーフォーカスの強化やデータに基づいた意思決定などが、ユーザビリティエンジニアリングの中核を成す要素となります。