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クリエイターのためのマネジメントガイド【基本編 5つの柱】

クリエイティブな職種においても、マネジメントスキルは非常に重要です。クリエイターがマネジメントを適切に行うことで、チームの調和を保ちながらプロジェクトを成功に導くことが可能です。

 

ところが、デザイナーやエンジニアなどの専門職は、専門領域の技術を学ぶことが中心でマネジメントを学ぶ機会があまりないのではないでしょうか。

 

このままの状態でマネジメントスキルが要求される場面に直面すると、「人をコントロール」しようとしてしまい、人間関係の不和を生み出した上に成果も上げられないという大失敗につながる事も。

 

本コラムでは、マネジメントの基本的な考え方を5つの柱にまとめ、ザックリと解説します。各々の項目について詳細な解説は別の記事でお伝えしていきます。

マネジメントとは

マネジメント、それは組織としての成果を導き、個人やチームを効果的に指導し、共通の目標を達成するための鍵となる技術です。しかし、マネジメントは単なる指示やコントロールではありません。それは、人間関係の構築、コミュニケーションと成果の総合芸術、目標の設定と追求、複雑な問題の解決、そして生活と仕事の調和を含む、多岐にわたるスキルと哲学です。

マネジメントの5つの柱

ここで5つの柱としているのは、

  • コミュニケーション
  • リーダーシップ
  • 目標設定
  • 問題解決
  • ワークライフバランス

です。

クリエイティブな仕事に従事する皆さんにとって、マネジメントのこれらの柱は成功への鍵を握っています。コミュニケーションはアイデアを共有し、リーダーシップはビジョンを導き、目標設定は方向を示し、問題解決は障害を克服し、ワークライフバランスは創造性と幸福感を維持します。これらの要素を理解し、上手に活用することが、クリエイターとしての成長と成功につながります。このガイドでは、各柱の概要をお伝えし、実践的なアドバイスを提供します。

コミュニケーションの取り方

チームメンバーの個々のニーズや特性に合わせてコミュニケーションスタイルを調整し、共感と信頼を築くことが大切です。以下のアプローチを組み合わせて、リーダーシップやマネジメントのコミュニケーションを効果的に行うことができます。

ビジョン/目的(パーパス)に基づく

チームや部下と共有するビジョンや目的を明確に伝えることが重要です。ビジョンが明確であれば、メンバーは共通の方向性を理解しやすくなります。

また、ビジョンがなぜ重要であるか、組織やプロジェクトにどのような影響を与えるかを説明します。これにより、メンバーはビジョンへの共感を持つことができます。

ビジョンとパーパスについては、こちらの記事もご参照ください。

事実に基づく

意思決定や方針に関して、事実やデータを提示し、論理的な根拠を示します。感情や主観的な意見に頼るのではなく、客観的な情報を共有します。

問題や課題を隠さず、誠実に対処する姿勢を持ちます。信頼を築くために、情報の透明性が重要です。

挑戦や成長を意識する

メンバーに対して、新しいアイデアやアプローチを試すことを奨励し、リスクを取ることを恐れないようにサポートします。

メンバーがスキルや能力を向上させる機会を提供し、個人とチームの成長を意識的に促進します。

褒めて伸ばす、は正しく活用する

半ば神話化している「褒めて伸ばす」ですが、褒めるポイントを「結果」だけにしてしまうと逆効果です。メンバーに対して具体的なフィードバックを提供し、プロセスに対する工夫や努力を認めます。何が良かったのか、改善の余地はあるかを示します。

目標や期待を明確に伝え、メンバーが自己評価を行い、成長するための指針を提供します。

マイクロマネジメントを避ける

マイクロマネジメントは、管理者やリーダーが部下やチームメンバーに対して、過度な細かい指示や監視を行うことを指します。細かすぎる指示、頻繁な監視、意思決定の制約、コミュニケーションの一方通行などが問題としてあげられます。

マイクロマネジメントは、部下の作業に対する徹底的なコントロールです。一見、有効なマネジメントのようですが、実際には効率性やチームメンバーのモチベーションを損なうことが多いとされています。部下に与えられる自由度や責任感が低下し、創造性やイニシアティブを奪い、ストレスや不満を引き起こす可能性があるためです。

これを避けるためには、メンバーに信頼を置き、彼らに適切な責任を委任します。自己決定能力を尊重し、適切なサポートを提供しますが、過度な干渉や管理は避けます。

また、メンバーに作業やプロセスの柔軟性を持たせ、自分なりの方法で仕事を進められる環境を提供します。

リーダーシップのスタイル

リーダーシップは単に指示を出すことだけではなく、より包括的で現代的なアプローチが求められます。

現代のリーダーシップは、管理者としての役割を超えて、協力、共感、自己効力感の育成、多様性の尊重など、多くの要素を包含するものです。リーダーは単なる指示を出す存在ではなく、チームや組織全体をサポートし、共に成長し、目標を達成するために協力します。

リーダーシップという言葉には勝手なイメージが付いている事があります。

よくある誤解を解くという観点から、リーダーシップのスタイルとアプローチについて説明します。

オレについてこい、がリーダーシップではない

現代的なリーダーシップは、単なる指令系統のものではありません。リーダーはビジョンや目標を共有し、チームメンバーをインスパイアし、共感を生む役割を果たします。単なる命令ではなく、共感と協力が重要です。

リーダーシップは全員に備わっている

リーダーシップの能力は個人によって異なりますが、全てのメンバーに潜在的なリーダーシップの資質が備わっています。リーダーは個人だけでなく、チーム全体で育てることができます。

リーダーシップの現代的な考え方

現代的なリーダーシップは協力と共感を重視します。リーダーは単独の決定者ではなく、チームと協力して意思決定を行います。また、多様性を尊重し、異なる視点を受け入れる柔軟性も求められます。

リーダーはメンバーの自立を促す

リーダーの役割の一つは、メンバーの成長と自立を支援することです。メンタリングやスキルの向上の機会を提供し、個人としての成長を促します。

目指すのは自立の上での相互依存

チーム内のメンバーが自立し、個別の役割や責任を果たす一方で、相互依存関係も重要です。チーム全体が協力し、相互補完的な役割を果たすことで、最高の成果を達成できます。

目標の設定と計画

マネジメントは成果を導くことです。そのために、目標は方向を示し、計画はその方向に向かって進むための道筋を提供します。また、目標達成のプロセスは挑戦的でありながらも実行可能である必要があります。

これらは、個人や組織が成功に向かって進むために極めて重要です。以下の要点に従って、目標の設定と計画を行うことで、個人や組織はより効果的に成果を達成し、成長することができます。

大局を観る

目標を設定する際、大局を観ることが重要です。大局(観)とは、ある状況や問題を個別の部分ではなく、全体の視点から見る能力や視点のことです。つまり、短期的な目標だけでなく、長期的なビジョンや戦略に基づいて目標を定めるべきです。大局的な視点を持つことで、目標の意義と方向性が明確になります。

目的と整合した目標を定める

目標は、個人や組織の目的や価値観と整合性がある必要があります。目的に合致しない目標は、モチベーションの低下や成果の低下につながる可能性があります。目的に基づいた目標を設定しましょう。

目標達成の勾配を適切にする

目標は挑戦的であるべきですが、不適切に難しい目標を設定すると、失望や挫折を招くことがあります。達成までの期間と目標の高さによる勾配を適切に調整し、達成可能な一歩一歩の目標を設定しましょう。

コンフォートゾーンに落ちない

コンフォートゾーンとは、個人が自分自身を安心感や快適さを感じる範囲や状態のことを指します。これは、何か新しいことや挑戦的なことに取り組むことなど、不安やストレスを感じない範囲を意味します。コンフォートゾーン内では、既知の状況やルーチンが支配的で、リスクを取ることが少ない傾向があります。

挑戦や成長はコンフォートゾーンを離れて始まり、新しい経験や学びの場への移行が必要です。

目標はある程度の挑戦を含むべきです。自分のコンフォートゾーンから少し外れた目標を設定することで、成長と学びが生まれます。適度なリスクを受け入れることが重要です。

目標達成のプロセスを設定する

目標を設定するだけでなく、それを達成するための具体的なプロセスやアクションプランを策定することが大切です。ステップバイステップの計画を立て、行動に移すことが成功への鍵です。

問題解決と調整

この能力は、問題解決と調整はリーダーシップとマネジメントの重要な要素です。

技術的な問題だけでなく人間関係も含め、問題に臨機応変に対処し、チームや組織を前進させるためのスキルとして育成されるべきでしょう。

従来の方法にとらわれず、新しいアプローチを検討し、チームメンバーの能力を活用することが成功に繋がります。

問題解決は技術を学ぶ事が大切ですが、ここでは問題解決の心構えについて言及します。

マネジメントは人をコントロールする事ではない

マネジメントは単に人をコントロールすることではなく、効果的にリーダーシップを発揮し、目標達成や問題解決をサポートし、最善の結果を導くことです。協力、コミュニケーション、サポートの提供が含まれます。

問題解決は単純に白黒を判断することではない

問題解決は複雑で多面的なプロセスです。単純な「正しい」または「間違っている」の判断だけではなく、さまざまな要因や視点を考慮に入れ、最適な解決策を見つけるための探求と判断が必要です。

客観的事実を重視する

問題解決において客観的な事実とデータを重要視しましょう。感情や主観的な意見に影響されることなく、客観的な分析を行うことで、より正確な判断が可能になります。

「誰かが言っていたこと」を鵜呑みに信じることは、いかなる場合でも避けるべきです。慎重な検証と判断が求められます。

創造的な問題解決

問題解決は創造性を発揮する機会でもあります。新しいアイデアやアプローチを探求し、既存のパターンから逸脱することが、革新的な解決策を見つける鍵です。

伝統的なアプローチではAかBかという選択肢に対して、Cという新たな解決策が示されるというものです。これは技術革新や社会の様式変化などが背景になることがあり、やはり全体を俯瞰することから生まれる傾向がみられます。

主体性を重視する

問題解決において、主体性は重要な要素です。個人やチームが問題に積極的に取り組み、自己指導能力を発揮することで、効果的な解決策が生まれます。

関係者の主体性を引き出さずに問題解決を提供すると、提供される事が当たり前になってしまい、依存性が強化される危険性があります。

ワークライフバランスの考慮

この考え方をマネジメント視点で持つことは、仕事の質を向上させ、個人の幸福感と健康を維持するために非常に重要です。

ワークライフバランスは個人の幸福感や生活の質に大きな影響を与えます。自己管理や時間管理のスキルを向上させるだけでなく、仕事に対する意味づけ、意義づけを自分自身が行うことが、ワークライフバランスを実現する鍵となります。

この考えに基づくワークライフバランスのアプローチについて説明します。

ワークとライフを対立させない

ワークライフバランスの基本は、仕事とプライベートの間に対立を持たせないことです。両方の領域が調和して、相互に補完し合うことが理想的です。

対極にあるものという考えは様々な葛藤を生み、簡単にバランスを崩します。バランスを取ることに必死になれば、地に足の付いた幸福とはかけ離れたものになってしまうでしょう。

ワークに人生(ライフ)の楽しみを見いだす事

仕事を営みながら、その中から楽しみや充実感を見いだすことが重要です。仕事が人生の一部であることを認めるだけでなく、人生に喜びをもたらす要素を仕事の中に見いだす事ができれば、幸福感を維持しやすいと考えられます。

この、仕事に楽しみを見いだすという事は、好きな事を仕事にするのとは違います。好きなことを仕事にしたはずなのに、仕事にしたら苦痛しか感じにない、という人もいるのではないでしょうか。

仕事に楽しみを見いだすのは能力であり、個人の考え方次第です。与えられるものではないので、いかに個々人の楽しみを引き出すかがマネジメントの視点となります。

苦しみから逃れようとする心が自分を苦しめる

常にストレスや苦痛から逃れようとすることは、逆にさらなるストレスを生む可能性があります。代わりに、ストレスを管理し、適切に対処する方法を見つけることが大切です。

人間には快適感情と苦痛感情があり、苦痛を避けて快適で居ようとするのは正常な考え方です。ところが、その快適性というのは砂上楼閣のようなもので、簡単に崩れ去ってしまうものです。この快適性の幻想にすがり、そこにしがみつこうとすることが葛藤を生み出し、不幸の元凶になってしまうのです。

人間である以上、苦しみは避けることは出来ません。苦しみを受け入れられる、しなやかな心を持てる様に自己成長を促すことが大切です。

自己成長とウェルビーイング

ワークライフバランスは、仕事だけでなく、自己成長やウェルビーイング(健康と幸福)にも焦点を当てることを意味します。自分自身の成長と健康を重視し、それが仕事にもプラスの影響を与えることを目指しましょう。

快適感情をコレクションすることや、快楽を追求することはウェルビーイングにはつながりにくい事も考慮しておきましょう。例えば、体力を維持するだけでも適正な負荷が必要です。人生のステージにおいては、成長を志向する事が大切な時期もあります。

この時期に、過度に負荷がかかる場面を避けてしまうことは、人生全体でみると大きなマイナスになってしまうこともあるかもしれません。

仕事に人生の喜びを得られない時は辞めるとき

仕事が持続的に喜びや充実感を提供できない場合、ワークライフバランスを改善するために他の選択肢を検討することも重要です。時には転職やキャリアの変更が必要かもしれません。

これも仕事の目的や人生という大局観が必要です。目先の利害で考えてしまうと、誤った判断をすることになり人生を既存することにもなりかねません。

マネジメントスキルの養い方

ここまで、マネジメントを考える/行う上での5つの柱となる考え方をご説明してきました。

マネジメントのスキルは、個人のセルフマネジメントから始まり、その後、チームマネジメントや組織マネジメントに拡張されていくことが多いです。

これらのマネジメント範囲におけるポイントについて、簡単に触れておきます。

このプロセスはステップバイステップで進み、マネジメントのスキルを段階的に向上させます。自己マネジメントから始め、個人の成長、チームの成功、そして最終的に組織の運営に貢献する準備を整えることが、効果的なマネジメントの道です。

セルフマネジメント

マネジメントの旅は、自己を管理し、効果的にタスクや時間を管理することから始まります。セルフマネジメントには目標設定、優先順位付け、時間管理、ストレス管理などが含まれます。個人が自分の仕事と生活を効果的に調整し、自己成長を促進する能力を養うことが重要です。

チームマネジメント

マネジメントスキルをチームに拡張する際、コミュニケーション、リーダーシップ、協力、プロジェクト管理などがキーとなります。チーム内での協力と調整を通じて、共通の目標を達成するために必要なスキルを磨きましょう。これには、メンバーのモチベーションを高める能力も含まれます。

組織マネジメント

チームマネジメントが成功すると、組織マネジメントへのステップアップが考えられます。組織マネジメントでは、ビジョンの設定、戦略の策定、リーダーシップの発展、リソースの最適活用など、より広範かつ戦略的なスキルが求められます。

マネジメントは創造性を高めるためのツール

創造性は組織にとって貴重な資産であり、マネジメントはその資産を活用し、促進する役割を果たします。組織は創造性を尊重し、それをサポートする環境とプロセスを整備することで、組織は革新的なアイデアやソリューションを生み出し、競争力を維持または向上させることができます。

創造性を高めるためのマネジメントのポイントは3点です。

環境の整備

マネジメントは創造性を促進するための環境を整える役割を果たします。創造性を奨励するオープンで柔軟な職場文化、アイデアを共有しやすいコミュニケーションプロセス、創造的なプロジェクトに取り組むための時間とリソースの提供などが含まれます。

多様性の尊重

マネジメントは多様な視点とアイデアを尊重し、異なるバックグラウンドや専門知識を持つメンバーを組み合わせることを支援します。異なる視点が交差すると、新しいアイデアやイノベーションが生まれやすくなります。

フィードバックと学習

マネジメントはフィードバックを提供し、過去のプロジェクトから学びを得るプロセスをサポートします。過去の成功や失敗からの洞察は、新しいアイデアの発想に役立ちます。

Summary

個人の成長とチームの成功は、幸福感と満足感につながり、充実した人生を築く鍵となります。それらの要素は、仕事やプロジェクトに情熱を注ぎ、人生を豊かにする重要な要素です。

 

特にクリエイティブの仕事では、創造性や挑戦などがプロジェクトに含まれていることがあり、その中での成長や成功は、大きな達成感をもたらします。挑戦的な目標に向かって努力し、それを達成した時の満足感は非常に強烈です。

 

また、プロジェクトが社会やコミュニティにポジティブな影響を与える場合、その成果は更なる喜びをもたらします。他の人々に価値を提供することは、個人やチームに充実感をもたらすでしょう。

 

これらの仕事のプロセスやチームとの協力は、仕事の楽しさと充実感をもたらすはずです。仕事を楽しむことは、日常生活に喜びをもたらし、生活全体の充実感を高めます。

 

仕事の最終的な目的はQOL(Quolity of Life)向上にあると考えます。しかし、QOLは単なる快適感情のコレクションではありません。無常の世に安定して生きる事の本質的な意味を知り、適応する術を身につけることが大切です。私たちにとってマネジメントとは、自分の人生を生き抜くために不可欠なスキルであると言えるでしょう。