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採用サイト制作のポイント|戦略、コンセプト、デザイン

採用サイトは、優れた人材獲得のために不可欠なツールとして、企業にとってますます重要性を増しています。中小企業も、適切なリソースを投じて戦略的な採用サイトを構築することで、競争力を維持し、成長を促進する一環として活用できます。

 

当社でも、数多くの採用サイト制作を手がけてきました。一昔前だと上場企業が新卒向けに自社の魅力をアピールするため、相当の費用を掛けて制作されるものが主流でした。しかし、現在では多くの中小企業も採用サイトの重要性に気づき、投資対象として考えており、採用専用のサイトを制作すること自体は一般的になりました。

 

しかし、一般的になるということは競争が激しくなるという事でもあり、採用サイトがあるだけでは十分なアピールができなくなりつつもあります。

 

このような背景をふまえ、効果的な採用サイトを制作する上で必要な考え方について、整理してみたいと思います。

採用サイトの目的

採用サイトは企業の採用活動において非常に重要な役割を果たします。

優れた人材を吸引し、従業員を維持・満足させ、企業の成功に貢献するために企画・制作されます。

採用サイトは企業の魅力的なイメージを構築し、求職者とのコミュニケーションの窓口として重要な存在です。以下の様な目的を持つことが一般的です。

アイデンティティの提示

採用サイトは、企業に関する詳細な情報を提供します。これには企業の歴史、ビジョン、ミッション、価値観、業界での地位や競争力などが含まれます。求職者はこの情報を通じて企業を理解し、自身の興味を確認できます。

職務情報の提供

各職種やポジションに関する詳細な情報が提供されます。仕事の説明、職務内容、必要なスキルや資格、給与情報、福利厚生などが含まれます。求職者は自分のスキルや興味に合致する職務を見つけるのに役立ちます。

企業文化と価値観の伝達

採用サイトは企業文化や価値観を伝えるための重要なツールです。従業員の声や成功事例、社内イベントの写真や動画などを通じて、企業の雰囲気や文化を示します。

応募プロセスの案内

採用サイトは、求職者が応募するためのステップやプロセスを明確に案内します。オンライン応募フォーム、履歴書の提出方法、面接スケジュール、応募に関する連絡先情報などが提供されます。

共感の形成

理念やビジョンへの共感のほか、従業員の声や体験談は、企業の魅力を示す重要な要素です。従業員のインタビュー記事や動画、ブログ、SNSの投稿などを通じて、実際の従業員の声や体験を共有します。

ブランド強化

採用サイトは企業の雇用主としてのブランドイメージを強化するためのツールです。優れた採用サイトは、優秀な人材を吸引し、競争力を高めるのに役立ちます。

採用サイトの投資価値

採用サイトもWEBサイトと同様に、データドリブンなアプローチを採用することで費用対効果は向上します。

データドリブンなアプローチ(Data-Driven Approach)は、意思決定や行動を、データと分析に基づいて行う方法論やアプローチのことを指します。

このアプローチは、採用サイトのパフォーマンスを向上させ、採用候補者とのコミュニケーションを最適化するために重要です。サイトを作って満足、では勿体ないです。デジタルデータの利点を余すところなく利用しましょう。

データを活用することにより、採用プロセスや採用サイト自体の効果を評価し、最適化するための情報を得ることができます。これにより、採用プロセス全体がより効果的になり、企業は優れた人材を効率的に獲得できるようになります。

データドリブンなアプローチが採用サイトにどのように貢献するかを考えてみましょう。

データ収集と改善

採用サイトは訪問者の行動を追跡し、データを収集することができます。これにより、サイトの効果を評価し、必要に応じて改善を行うための情報を提供します。

コンテンツ戦略の最適化

サイト上のコンテンツの効果を評価し、求職者の関心に合った情報を提供します。どのコンテンツが最も閲覧され、共有されているかを把握し、それに基づいて新たなコンテンツを開発します。

SEO最適化

適切なキーワード戦略が前提となりますが、検索エンジン最適化(SEO)を実施することで、採用候補者との接点が生まれ、ブランドプレゼンスが向上する事が期待できます。

効果的な広告配信

データ分析を用いて、どの広告チャネルやキャンペーンが最も効果的であるかを特定できます。広告予算を最適化し、求職者のコンバージョン率を向上させます。

ユーザーエクスペリエンスの改善

ウェブ解析ツールを使用して、採用サイトの訪問者の行動やナビゲーションを追跡します。訪問者がどのページで離脱するか、どの情報に関心を持つかなどを分析し、サイトのユーザーエクスペリエンスを改善します。

応募プロセスの最適化

デジタル上の応募者の行動を分析し、応募プロセスのボトルネックを特定します。応募者がどこで離脱してしまうかを理解し、プロセスを見直します。

A/Bテスト

サイト上のさまざまな要素(ヘッダー、コールトゥアクション、フォームデザインなど)をA/Bテストして、最適なバージョンを特定します。

採用活動において戦略が必要な理由とは

採用活動を成功させるためには、マーケティングやブランディングと同様の戦略的な考え方を活用し、企業の魅力を最大限に引き出し、伝えることが不可欠です。
企業は自身の文化、価値観、特徴を明確に伝え、優れた人材を引き寄せるために、これらの要素を戦略的に活用することが求められます。

マーケティングとブランディングの考え方を適用することが注目される背景には、以下の要因が考えられます。

競争の激化

優れた人材を獲得するためには、競争が激しい現代の労働市場で差別化が必要です。マーケティングの原則を活用して、自社の採用メッセージを他社と区別化することが重要です。

ブランドの影響力を向上する

企業のブランド価値を明確に伝えることは、求職者がその企業に対する印象や期待を形成する上で重要な要素です。良いブランディングを通じて、企業は魅力的な職場としてのイメージを構築できます。

応募者の体験価値向上

マーケティングと同様に、求職者が採用プロセスを通じて良い体験をすることは重要です。応募者がプロセス中に満足度を感じ、ポジティブな印象を受けることで、ブランドイメージが向上し、応募率や内定率、定着率が向上します。

潜在的な人材プールの構築

マーケティングのアプローチを採用に適用することで、潜在的な人材プールを構築できます。長期的な視野で、将来の採用ニーズに対応するための関係を築くことができます。

採用サイト制作の前に採用戦略を立てる

では、採用戦略を具体的に立てるにはどうしたら良いでしょうか。これはマーケティング戦略やブランディング戦略と同様のアプローチになります。

採用ターゲットの明確化

採用サイトは、採用したい人材をターゲットに制作する必要があります。そのため、まず採用ターゲットを明確にすることが重要です。
採用ターゲットを明確にすることで、採用サイトに必要なコンテンツやデザインを検討しやすくなります。

ターゲットについては以下の記事もご参照ください。

競合との差別化

採用サイトは、競合他社も制作しているため、採用ターゲットに選んでもらうためには、競合他社との差別化を図ることが重要です。

競合との差別化を図ることで、採用ターゲットの目に留まりやすくなり、採用成功の確率を高めることができます。

また、競合との差別化を図ることで、自社の採用サイトが他社と比べて優れていることが採用ターゲットに伝わり、自社の採用活動の信頼性が高まります。

採用メッセージの明確化

採用サイトは、企業の魅力や仕事のやりがいを採用ターゲットに伝えることが重要です。そのため、採用メッセージの明確化が重要です。

採用メッセージは、企業の理念やビジョン、事業内容、仕事の魅力などを簡潔にまとめたものです。メッセージが明確であれば、採用ターゲットに企業の魅力を効果的に伝えることができます。

採用サイトの目的の明確化

採用サイトは、採用活動の効率化や、採用コストの削減など、さまざまな目的を達成するために制作されます。そのため、採用サイトの目的を明確にすることが重要です。

採用サイトの目的を明確にすることで、制作するコンテンツやデザインを最適化することができます。

採用サイト制作に向けた調査と計画

上記のポイントを押さえて、ターゲットに効果的に訴求できる採用サイトを制作することが重要です。

具体的な戦略としては、以下のようなものが挙げられます。

採用ターゲットの流入経路を分析する

ターゲットが採用サイトに訪れる経路を分析することで、採用サイトのデザインやコンテンツを最適化することができます。

採用サイトのアクセス解析を活用する

アクセス解析を活用することで、採用サイトの閲覧状況を把握し、改善点を見つけることができます。

採用サイトの運用体制を整える

採用サイトは、制作した後は定期的に更新や改善をする必要があります。そのため、採用サイトの運用体制を整えることが重要です。

採用サイト制作にはコンセプトが重要

採用サイトのコンセプトは非常に重要です。コンセプトはサイトの全体的なデザイン、メッセージ、ストーリーテリング、ブランドの表現方法などに影響を与え、求職者に強い印象を与える要素の1つです。

コンセプトとは、物事の本質を捉えるような、構想や概念を意味します。目的達成に向けて、終始一貫してブレることのない基本的な方向性を意味します。

採用サイトのコンセプトを定める前に、採用活動そのものもコンセプトがあると思います。これは企業の採用活動の基盤となり、ブランディングの一環として活用されます。

そのため、採用サイトのコンセプトは採用コンセプトに則り、企業のビジョンや目標に合致するものを開発・実装することが重要です。

以下は、採用サイトのコンセプトが重要性を示す、主要な理由です。

ブランドアイデンティティの表現

コンセプトは企業のブランドアイデンティティをサイト上で表現するための基盤です。企業の文化、価値観、ミッション、ビジョンを反映し、候補者に伝えます。

差別化、ポジショニング

コンセプトは企業を他社と区別化する要素として機能します。独自のコンセプトを持つことで、求職者に対して魅力的で独特な雰囲気を提供できます。

感情的な結びつき

良いコンセプトは感情的な結びつきを作り出します。候補者はコンセプトに共感し、その企業で働くことに興味を持つ可能性が高くなります。

コンバージョン率の向上

魅力的なコンセプトは、求職者がサイトで行動を起こし、応募する確率を高める助けになります。コンセプトが候補者に訴求力を持つ場合、応募率が向上します。

ブランドの一貫性

コンセプトは企業の採用サイトと他のオンラインプレゼンス施策との一貫性を保つようにします。ブランドが一貫していると、求職者は企業に対する信頼感を持ちやすくなります。

長期的な影響

コンセプトは単なる一時的なデザインではなく、長期的なブランドイメージを形成します。一貫性のあるコンセプトは、長期間にわたってブランドの認知度と価値を高めます。

カルチャーへの適合

コンセプトは企業文化と求職者の適合度を示す手がかりとなります。コンセプトが企業の文化を正確に反映していれば、適切な候補者が自然に引き寄せられます。

求職者が知りたいことに応える

次に、どのような情報を提供すればよいかを考えます。まずは、求職者が何を知りたがっているのかを意識しましょう。

求職者の目線に合わせて情報提供することで、求職者が企業を評価し、自分のキャリア目標や価値観に合致するかどうかを判断するのに役立ちます。

企業は、求職者が必要な情報をわかりやすく提供することで、採用活動の成功率を高めることができます。

外的な側面と内的な側面

求職者が企業に求める情報は、大きく分けて外的な側面と内的な側面の2つに分けることができます。

外的な側面とは、企業の事業内容や理念、募集背景、仕事内容、職場に関する情報、応募資格・求める人物像など、目に見える客観的な情報のことです。求職者は、これらの情報をもとに、その企業が自分に合った働き方や環境を提供してくれるかどうかを判断します。

内的な側面とは、社風やカルチャー、働きがい、やりがいなど、目に見えない主観的な情報のことです。求職者は、これらの情報をもとに、その企業で働くことで自分自身が成長し、やりがいを感じられるかどうかを判断します。

企業は、求職者の外的な側面と内的な側面の両方を満たす情報を提供することで、より多くの求職者の応募を獲得し、採用成功率を高めることができます。
これらの情報を採用サイトや動画、SNSやメールなどで提供し、求職者に対して透明性と信頼性を提供することが重要です。

外的な側面の情報

事業内容やその理念

求職者は、企業がどのような事業を行っているのか、その事業にどのような意義や価値を見出しているかを知りたいと考えています。

業界内の動向や企業の競争力についての情報が、求職者にとって重要な要因となります。

募集背景

求職者は、なぜそのポジションが募集されているのかを知りたいと考えています。募集背景を知ることで、そのポジションの役割や責任、将来性などを理解することができます。また、募集背景が明確であれば、応募する意欲も高まります。

詳しい仕事内容

求職者は、具体的にどのような仕事を担当するのかを知りたいと考えています。仕事内容を知ることで、自分のスキルや経験が活かせるのか、やりがいを感じられる仕事なのかを判断することができます。

企業と職場に関する情報

企業の所在地、通勤方法、オフィスの近くにある施設(駐車場、飲食店、交通機関)についての情報が求職者に関心を持たれます。

応募資格・求める人物像

求職者は、応募するためにどのような条件やスキルが必要なのかを知りたいと考えています。応募資格や求める人物像を知ることで、自身が応募できるかどうかを判断することができます。

給与と福利厚生

給与、ボーナス、福利厚生、年次有給休暇、健康保険などの報酬と福利厚生についての情報が興味の対象です。

キャリア成長とスキルの発展

キャリアパス、昇進の機会、スキルの習得と成長のサポートについての情報が求職者にとって重要です。

採用プロセス

応募から選考までのプロセス、面接の種類、選考試験、応募期限、連絡方法などに関する情報が必要です。

内的な側面の情報

事業理念やビジョン、ミッション、パーパス

企業の理念やビジョン、ミッション、パーパスなどは、求職者がその企業で働くことでどのような社会貢献ややりがいを得ることができるのかを判断する材料となります。

社風・カルチャー

求職者は、どのような社風やカルチャーの企業なのかを知りたいと考えています。社風やカルチャーを知ることで、自身の価値観や考え方とマッチする企業なのかを判断することができます。

従業員の声

現在の従業員の声、従業員の体験、成功事例などを共有することで、求職者は企業内部の雰囲気や仕事環境を理解します。

チームと上司、企業の文化や風土について

求職者は、自分が働くチームや直属の上司についての情報から、企業の文化や風土を読みとろうと考えます。

採用サイトのデザイン

デザインは、採用したい人材を惹きつけることが重要です。採用したい人材を想定して策定する必要があります。そのため、ターゲット層を明確にし、そのニーズや価値観を理解することが重要です。

採用コンセプトを表現する

ビジュアルデザインは、採用コンセプトを視覚的に表現する重要な手段の1つです。デザイン要素は、企業の文化、価値観、ミッション、ビジョンに基づいて構築され、求職者にブランドの特徴や魅力を伝える役割を果たします。

デザインは求職者にユニークな印象を与えるためにも用いられます。コンセプトに合ったデザイン要素を組み合わせて、採用サイトを効果的に構築しましょう。

クリエイティブの要件

コンセプトビジュアル

コンセプトの視覚的な表現は求職者の印象に残るための戦略です。印象的なビジュアルとコピーでコンセプトを表現することで、第一印象が決定づけられます。

カラースキーム

コンセプトに合ったカラースキームを選択します。カラーは感情や印象を伝えるのに非常に強力な手段であり、コンセプトの一部として使用されます。たとえば、活気のあるカラーパレットはアクティブなカルチャーを示すことができます。

フォントやレイアウト

フォントはブランドのスタイルや個性を表現し、読みやすさにも影響を与えます。
サイトのレイアウトはコンセプトに合致するようにデザインされるべきです。

これらの選択はシンプルでモダンなものや格式張ったもの、自由でクリエイティブなものまでさまざまですが、コンセプトに応じていることが大切です。

ストーリーテリング

サイトのデザインにはストーリーテリングの要素を組み込むことができます。ビジョンやミッションの説明、従業員のストーリー、企業の歴史などを通じて、コンセプトを物語性豊かに伝えることができます。

テクニカルの要件

モバイルフレンドリー

モバイルデバイスでの利用も考慮し、レスポンシブデザインを採用しましょう。モバイルユーザーにもコンセプトが伝わるようにすることが重要です。

採用アグリゲーションサービスへの最適化

Googleしごと検索やindeedなど、採用アグリゲーションサービスにインデックスされるための構造化を意識しましょう。

ユーザーエクスペリエンス

言うまでもなく、デザインはユーザーエクスペリエンス(UX)にも影響を与えます。採用サイトのナビゲーションやユーザーインターフェースは、求職者にブランド体験を提供する重要な要素です。

UI/UXに基づく設計については、別の記事をご参照ください。

プロモーションとコミュニケーションを考慮する

採用サイトは作っただけではだれもやってきません。ターゲットオーディエンスがサイトへ流入する経路を確保する必要があります。

新卒向けナビサイトや採用アグリゲーションサイトへの登録、SNSの利用などが一般的です。

特にSNSは効果的な採用プロモーションの一部として、候補者へのアプローチやブランディングに対して強力なツールです。適切に活用することで、多くの求職者にアプローチし、優れた人材を獲得するのに役立ちます。

ブランディングとカルチャーの共有

SNSは企業のブランドメッセージや文化を広めるためのプラットフォームとして活用できます。従業員の声や成功事例、社内のイベントや活動を共有することで、企業の魅力を伝えます。

コミュニケーションとエンゲージメント

SNSは求職者との対話とエンゲージメントを促進するためのプラットフォームでもあります。応募者の質問に答えたり、フィードバックを受けたり、コミュニティを構築したりすることができます。

採用プロセスの透明性

SNSを通じて、採用プロセスに関する情報を透明に共有できます。候補者はプロセスの進捗状況や次のステップに関する情報を受け取ることができます。

リファラル採用

現在の従業員やコネクションを通じて、新しい候補者を勧めることができます。リファラルプログラムをSNS上で宣伝し、従業員が候補者を紹介しやすい環境を作ることができます。

トレンドと洞察の追跡

SNSは業界のトレンドや競合他社の採用活動に関する情報を収集しやすいツールです。競合情報を把握し、戦略の改善に役立てることができます。

Summary

採用サイトは、企業の採用活動において不可欠なツールです。
競争の激化や求職者の期待の変化に対応し、優れた人材を獲得するために、戦略的な採用サイトの構築と運用が不可欠です。

 

近年普及している、無料や低価格の求人サイト制作サービスを利用することは、中小企業や予算の限られた企業にとって魅力的な選択肢です。

 

しかし重要なのは、サイトが企業のブランディングと採用活動に適切に対応し、求職者に魅力的な印象を与えることです。必要に応じて将来的にアップグレードすることも考慮に入れ利用すると良いでしょう。