プランニング

CXデザインの基本概念|顧客心理を読み解き体験を設計する

CXデザイン(Customer Experience Design)は、顧客がブランドや企業との全て接点で経験する全体的な体験を計画し、質的向上をデザインするプロセスです。
顧客の感情、ニーズ、期待、痛み、意思決定のプロセスを理解し、それらを満たすためにブランドステートメントやマーケティング戦略を策定し、実際の体験を提供するコミュニケーションデザイン、ウェブやビジュアルなどのデザインを統合します。CXデザインの基本概念は以下のような要素から成り立っています。
CXデザインについては、他にも記事を書いているので合わせてご覧ください。

顧客の視点

CXデザインでは、顧客の視点を重要視し、彼らのニーズや要求を理解することが重要です。顧客の課題や感情、願望を読み解くことに焦点を当てることで、より良い体験を提供することが可能となります。

自分たちの視点に囚われることは、顧客の本当のニーズを見逃してしまう可能性があります。顧客に何をしてもらおうかではなく、顧客が本当に求めているものや期待している体験について深く理解し、提供することが重要です。そのためには、洞察を深めるための探求や顧客との対話が不可欠です。

ユーザーエクスペリエンス(UX)

CXデザインでは、顧客が商品やサービスを使用する際や、購買の全般にわたり得られる体験に焦点を当てます。その結果、顧客が感じる感情や満足度が重要な役割を果たし、使いやすさ、便利さ、快適さなどの要素が顧客の体験に影響を与えます。

それは、例えばWEBサイトやアプリケーションソフトウェア、プロダクトのユーザビリティやエクスペリエンスを指しています。これらのユーザーエクスペリエンス(UX)デザインは、CXデザインに内包されています。

こうした顧客の体験は、ポジティブな感情や満足感によって顧客を引きつけ、忠誠心(ロイヤルティ)を生み出す要因になります。逆に、ネガティブな感情や不満足感は、顧客の行動を抑制したり、競合他社に流失させる可能性があります。

CXデザインでは、顧客の体験を改善するために、使いやすさや便利さを向上させるインターフェースの設計、顧客のニーズに合わせたパーソナライズされたサービスの提供、感情を喚起するブランドメッセージの伝達など、さまざまな要素を考慮します。

つまり、顧客の感情や満足度をトリガーとして捉え、ポジティブな行動を促すためのデザインや戦略を構築することが、CXデザインの重要な目標となります。

統合的なアプローチ

CXデザインは、ブランディング、マーケティング、デザイン、テクノロジー、顧客サービスなど、異なる要素を統合することによって顧客体験の向上を目指します。各要素は一貫して連携し、相互に補完しながら総合的な顧客体験を創造する役割を果たします。

デジタルマーケティング領域が主戦場である場合でも、CXデザインでは全体像を俯瞰し、プランニングを行うことが重要です。各部門や領域が分かれている状況は一般的ですが、CXデザインではそれらを縦断的に統合する必要があります。これにより、異なる要素が連携し、一貫性のある顧客体験を提供することが可能となります。

CXデザインの概念は複雑なため、理解に苦しむこともあるかもしれません。しかし、各要素の統合と顧客体験の向上を重視するアプローチが、事業の成功につながることを念頭に置いて取り組むことが重要です。

顧客の旅(Customer Journey)の描写

顧客体験を理解するためには、顧客がブランドや企業と関わる過程全体をマッピングし、そこでの顧客との接点やコミュニケーションを可視化する必要があります。カスタマージャーニーを把握することで、顧客との接点やコミュニケーションの機会を把握し、適切なメッセージを届けることができます。また、施策全体の中での改善ポイントや新たなチャンスを見つけることも可能です。

顧客の視点で、顧客がブランドと接触する全ての機会を把握することは、CXデザインにおいて重要なステップです。それによって、顧客のニーズや期待を理解し、コミュニケーションの最適化を図ることができます。

デザイン思考の活用

CXデザインでは、デザイン思考の手法やプロセスが活用されます。デザイン思考は、顧客やユーザーの視点に立ち、問題解決やイノベーションを推進するためのアプローチです。洞察力や創造力を活用し、共感や共創を重視して、ユーザーのニーズや意図を理解し、その解決策をデザインに反映させる手法です。

デザイン思考の一連の手法を用いて、顧客のニーズを理解し、そのニーズに合わせた自社ならではのソリューションを創造します。

体験コンセプト

CXデザインは、顧客の体験に重点を置き、それを具体的な指針やアイデアに落とし込むアプローチです。このアプローチでは、顧客のニーズや要求を理解し、その視点からデザインを行い、顧客にとってより良い体験を提供します。

そのため、顧客にどのような体験を提供したいのか、コンセプトとして言語化し共有します。コンセプトの言語化はCXデザインにおいて極めて重要なプロセスです。

体験コンセプトが示されることで、顧客にどのような体験を提供したいのかを明確にし、関係者間で共有することができます。マーケターやデザイナー、エンジニアなどの関係者が共通の理解を持ち、一貫性のある体験を提供することができます。また、デザインの目標や方向性を示す指針として機能し、ステークホルダーとのコミュニケーションを円滑に進めることができます。

チームのエクスペリエンス

CXデザインにおいては、顧客のエクスペリエンスだけでなく、サービスを提供するチームのエクスペリエンスも非常に重要です。従業員が自分たちの仕事に満足し、良いエクスペリエンスを持つことは、顧客に対して高品質なサービスを提供するために欠かせない要素です。

従業員が仕事に満足していると、彼らはよりやる気を持ち、より責任感を持ってサービスを提供することができます。逆に、従業員のエクスペリエンスが悪い場合は、サービスの品質が低下したり、顧客への対応が不十分になることがあります。

CXデザインでは、顧客の視点だけでなく、従業員の視点も考慮に入れて、従業員のエクスペリエンス向上にも取り組みます。従業員にとって働きやすい環境やサポートを整えることで、彼らがより一層顧客に対して良いエクスペリエンスを提供できるようになります。従業員が顧客とよい関係を築くことができれば、顧客ロイヤルティの向上にもつながります。そのため、チーム全体のエクスペリエンスもCXデザインにおいて重要な要素として考慮されるべきです。

Summary

CXデザインの目的は、顧客の満足度と忠誠度の向上を通じて、ビジネスの成果や競争力を向上させることです。つまり、CXデザインは単なるWEBサイトのデザイン技法ではなく、サービス全体を通じて提供する、顧客とのあらゆる接点を通じたブランド体験のデザインです。
このことにより、顧客の態度や感情をポジティブに変化させ、良好な顧客体験を提供することが目指されます。